Nathalie Du Pasquier(ナタリー・ドゥ・パスクエ)の一番の魅力は、デザインから絵画へと身を転じるのびのびとした一面です。デザインと絵画を区別する必要はないのかもしれません。彼女の制作過程ではどちらかに身を置くのではなく、どちらもスタイルを作るキーであるからです。頑丈な構造の建物の存在とその建築物に見いだす軽さ。これがパスクエの作品に共通する要素であり、建築物を鮮やかな色使いと喜びあふれる装飾で満たす、彼女ののびのびとしたアプローチの特徴です。1980年代にEttore Sottsass(エットレ・ソットサス)が率いった伝説的集団「Memphis(メンフィス)」の創立者の一人であったナタリー・ドゥ・パスクエのデザインに対する熱意は、アフリカ旅行への情熱を表現したアニマルプリントや、トーテムのフォルム、儀式を思わせる幾何学模様を使った家具、オブジェ、テキスタイルなどの作品を生み出しました。
エキゾチックな魅力がありながら、形式には厳格な作品は、メンフィスの活気あふれる制作活動に誰もが認める芸術的な厚みを与えました。